試験ガイド/食品学
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食品学

食品の成分・特性・加工を学ぶ科目

食品学は、食品の成分や性質、分類、加工・貯蔵方法、表示制度などを学ぶ科目です。 調理師として食材を適切に扱うために必要な知識が問われます。 植物性食品・動物性食品の特徴、加工食品の種類、食品表示の読み方などが出題されます。配点は10%です。

1食品の意義と用途

食品とは

食品とは、人が必要とする栄養素を含み、風味がよく、かつ衛生上安全なものでなければなりません。 食品と食物の違いは、食品は食材そのもの、食物は調理・加工して消化しやすい形にしたものです。

食品の3つの機能

第1次機能(栄養機能)

生命を維持するための栄養素を供給する機能です。エネルギー源となる栄養素、 体の組織をつくる栄養素、体の機能を調節する栄養素を供給します。

第2次機能(嗜好機能)

おいしさに関わる機能です。色、味、香り、食感、形状などの嗜好性が求められます。

第3次機能(生体調節機能)

栄養素として以外の機能で、血糖値や血圧の調節、免疫力の向上、 ホルモンの代替作用など、体の調子を整える働きがあります。

食品の分類

植物性食品

穀類、いも類、砂糖類、豆類、種実類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類など。 一般的に炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維に富みます。

動物性食品

魚介類、肉類、卵類、乳類など。一般的にたんぱく質と脂質が多く、 必須アミノ酸のバランスがよいのが特徴です。

食品成分表

「日本食品標準成分表」は文部科学省が公表しており、食品の栄養成分の量を知ることができます。 現在は「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」が使用されており、 食品を18群に分類して収載しています。

食品成分表の表し方

  • ・可食部100g当たりの栄養成分を表示
  • ・エネルギーはキロカロリー(kcal)で表示
  • ・たんぱく質、脂質、炭水化物はグラム(g)で表示
  • ・ビタミン類はミリグラム(mg)またはマイクログラム(μg)で表示

食品の消化吸収率

消化吸収率とは、食品の摂取栄養素量から便として排泄された栄養素量を差し引き、 その量が摂取量の何%に当たるかを百分率で示したものです。 一般的に動物性食品の方が植物性食品より消化吸収率が高くなります。

試験のポイント

  • ・食品の3つの機能を理解する
  • ・植物性食品と動物性食品の特徴の違い
  • ・食品成分表の見方と単位を覚える
  • ・消化吸収率の意味を理解する

2食品の特徴と性質

穀類

日本人の主食。でんぷんが主成分で、アミロースとアミロペクチンの割合で粘りが変わります。 うるち米はアミロース約20%、もち米はアミロペクチン100%です。 玄米はビタミンB₁が多く、精白米にすると減少します。

小麦

たんぱく質のグリアジンとグルテニンが水を加えることで粘弾性のあるグルテンを形成します。 強力粉(パン用)、中力粉(うどん用)、薄力粉(菓子用)に分類されます。

大麦・とうもろこし

大麦は押し麦、麦茶、ビール、ウイスキーの原料に。 とうもろこしはコーンスターチ、コーン油の原料になります。

いも類

じゃがいも

炭水化物が主成分で、ビタミンCも比較的多く含みます。 発芽時の芽や緑化した皮にはソラニンという有毒物質が含まれます。

さつまいも

ビタミンCが比較的多く、カロテンも含まれます。 食物繊維が多く、焼きいもにするとアミラーゼの作用で甘味が増します。

こんにゃくいも

グルコマンナンという難消化性多糖類が主成分で、低カロリー食品です。

豆類

大豆

「畑の肉」と呼ばれ、たんぱく質と脂質が豊富。必須アミノ酸のリシンが多く含まれます。 豆腐、納豆、味噌、醤油など多くの加工品の原料となります。 生大豆にはトリプシンインヒビター(たんぱく質分解酵素阻害物質)が含まれるため、 加熱して利用します。

あずき・いんげん豆など

大豆より炭水化物が多く、和菓子の餡などに利用されます。

野菜類

分類主な野菜
葉茎類キャベツ、ほうれんそう、レタス、ねぎなど
根菜類だいこん、にんじん、ごぼう、れんこんなど
果菜類トマト、なす、きゅうり、ピーマンなど
緑黄色野菜にんじん、ほうれんそう、かぼちゃ、トマトなど(カロテン600μg以上/100g)

果実類

果実類は有機酸と糖質を多く含み、野菜に比べて香りがよいのが特徴です。 ビタミンCや無機質も多く含まれます。ペクチンを含んでおり、 砂糖とともに煮るとゼリー状に固まる性質があります。

きのこ類・藻類

きのこ類

うま味成分のグアニル酸を含みます。干ししいたけはビタミンDが豊富で、 紫外線照射により増加します。エネルギーは低く、食物繊維が多いのが特徴です。

藻類

こんぶ、わかめ、のり、ひじきなど。無機質やカロテン、食物繊維が豊富です。 こんぶのうま味成分はグルタミン酸です。

魚介類

魚類

良質のたんぱく質を平均20%程度含み、消化がよいのが特徴です。 青魚(さば、いわし、さんまなど)にはEPA、DHAなどの不飽和脂肪酸が多く含まれます。 赤身魚にはミオグロビンが多く、白身魚は脂肪が少ないのが特徴です。

貝類

グリコーゲンが多く、旬の時期においしくなります。 牡蠣は「海のミルク」と呼ばれ、栄養価が高いです。

肉類

牛肉

良質たんぱく質を含み、肝臓(レバー)はビタミンAや鉄などが多いです。

豚肉

ビタミンB₁が多く、豚の肝臓に含まれる鉄は牛の肝臓の約3倍です。

鶏肉

脂質は少なめで消化がよく、味は淡泊です。

肉は食肉処理(と殺)直後に一時的にかたくなる(死後硬直)が、 時間が経つとやわらかくなると同時にうま味が増す(肉の熟成)特徴があります。

卵類

鶏卵は消化がよく、アミノ酸価が優れ、栄養価の高い食品です。 卵黄はたんぱく質と脂質に富み、ビタミンCは含まれません。 卵黄の熱凝固は65〜67℃で始まり、70℃で完全凝固。 卵白は57〜58℃で粘度が増し、62℃以上でゼリー化、80℃で完全に凝固します。

乳類

牛乳

水分が85%以上であるが消化がよく、ほとんどの栄養成分が含まれています。 ただし、鉄とビタミンCはごく微量です。 カルシウムとリンの比率が1:0.9であり、理想的な比率(1:1)に近いのが特徴です。

乳製品

バター:乳脂肪が主成分。チャーニングにより脂肪球を凝集させて作ります。 チーズ:ナチュラルチーズとプロセスチーズに大別されます。 ヨーグルト:乳酸菌で発酵させたもので、整腸作用があります。

試験のポイント

  • ・米のアミロースとアミロペクチンの違い
  • ・小麦のグルテン形成と強力粉・中力粉・薄力粉の違い
  • ・緑黄色野菜の定義(カロテン600μg以上/100g)
  • ・青魚のEPA、DHAと健康効果
  • ・卵の熱凝固温度を覚える

3食品の加工

食品加工の目的

食品加工の目的は、そのままでは食べられない、または食べやすくない食品を 食べやすく、消化吸収されやすくすることです。さらに保存性を高め、 見た目を美しく、味や香りをよくし、食欲を増進させることも大切な目的です。

食用微生物の利用

かび

こうじかび:でん粉を分解して麦芽糖やブドウ糖にしたり、たんぱく質を分解してアミノ酸にします。 清酒、みそ、しょうゆなどの醸造に利用。 青かび:ブルーチーズの熟成に利用。

酵母

糖質を発酵させてアルコールと炭酸ガスにします。 清酒、ビール、ワイン、パン、みそ、しょうゆなどに利用されます。

細菌

乳酸菌:ヨーグルト、チーズ、漬物などに利用。 酢酸菌:酢の製造に利用。 納豆菌:納豆の製造に利用。大豆のたんぱく質が分解されてビタミンB₂が増加します。

穀類の加工

精白米

玄米の重量に対する精白米の重量の割合を精白歩合または歩留まりといい、約90%程度です。

小麦粉

小麦を製粉機にかけ、粉砕とふるい分けを繰り返して作ります。強力粉、中力粉、薄力粉に分類されます。

パン

小麦粉(強力粉)に、イースト、油脂、砂糖、食塩、卵、脱脂粉乳などを混ぜ、水とよくこね、発酵させて焼きます。

麺類

うどんは中力粉と食塩水をこねて作ります。 中華麺は強力粉にアルカリ性のかん水を加えて製麺したものです。

豆類の加工

豆腐

大豆を水に漬け、十分吸水させてすりつぶし、煮沸して布袋でこして豆乳を取ります。 これに凝固剤(にがり、硫酸カルシウムなど)を加えて凝固させます。

納豆

大豆を煮た後に納豆菌を繁殖させて作ります。納豆の粘りは納豆菌の作用で 大豆のたんぱく質が分解されて産生するポリグルタミン酸によるものです。

みそ・しょうゆ

蒸煮または水煮した大豆に、塩・米や大麦に麹菌を増殖させた麹を加えて発酵・熟成させます。

肉類の加工

ハム・ベーコン

ハムは豚のもも肉を塩漬け、くん煙、加熱して作ります。 ベーコンは豚のばら肉またはロース肉を塩漬け、くん煙して作ります。

ソーセージ

砕石を加えた食塩で塩漬した肉をサイレントカッターで細切しながら、 調味料、香辛料などを加えて練り合わせ、羊などの腸管(ケーシング)へ詰め、 乾燥、くん煙、水煮したものです。

乳類の加工

バター

牛乳を遠心分離して得られたクリームを、チャーンという機械にかけて、 低温で撹拌と衝撃を与え(チャーニング)、粒状になった脂肪球を凝集させて作ります。 乳脂肪含有率は80%以上と定められています。

チーズ

牛乳にレンネットという凝乳酵素を加え、乳たんぱく質であるカゼインを凝固させたものです。 ナチュラルチーズとプロセスチーズの2つに大別されます。

アイスクリーム

乳固形分により、アイスクリーム(15%以上)、アイスミルク(10%以上)、 ラクトアイス(3%以上)に区分されます。

試験のポイント

  • ・こうじかび、酵母、乳酸菌などの食用微生物の働きと利用食品
  • ・豆腐の凝固剤(にがり、硫酸カルシウム)
  • ・チャーニングによるバターの製造
  • ・アイスクリームの乳固形分による分類

4食品の貯蔵

食品貯蔵の目的

植物性食品(青果物)や水産食品には、一般に収穫の季節があり、消費に合わせて 貯蔵する必要があります。また、生活を合理化するために、一時に多量に買い入れた 入手しにくい食品を入手した際は、腐らせないように、しかも栄養価、味、香り、 色などを失わないように長く保存することが大切です。

低温貯蔵法(冷蔵・冷凍法)

冷蔵保存

一般に冷蔵保存とは、10〜0℃程度の貯蔵をさします。 特に2〜−2℃は冷温貯蔵、5〜−5℃はチルドといいます。

冷凍保存

−15℃以下という食品衛生法での保存基準があります。 日本冷凍食品協会ではコーデックス(CODEX)に準拠して、−18℃以下という自主的取扱基準を設けています。 冷凍法の種類として、空気冷凍法、送風冷凍法、接触冷凍法、浸漬冷凍法、液体窒素を使う方法などがあります。

乾燥法

食品中の水分および水分活性を低くし、微生物の繁殖を防ぐ方法です。 乾燥法の種類として、天日乾燥、機械(人工)乾燥、噴霧乾燥法、真空乾燥法、 凍結乾燥法などがあります。

真空凍結乾燥法(フリーズドライング)

急速に水分を凍結させて乾燥するため、風味、色調、ビタミン・たんぱく質などの 変化が少なく、多孔質なので復元性がよいのが特徴です。 インスタント食品などに広く利用されています。

塩漬け法・砂糖漬け法・酢漬け法

塩漬け法

食塩の濃厚液には脱水作用があり、高浸透圧と水分活性の低下により微生物の繁殖を防ぎます。 肉類、魚類、野菜類は塩漬けとし、果実類は砂糖漬けとします。

酢漬け法

酢酸貯蔵といい、魚類や野菜類を酢に漬けることで食品のpHを低下させ、 有害微生物の繁殖を抑制することができます。

くん煙法

一般に、肉類、魚類、卵類を、塩蔵した後にくん煙する方法で、塩蔵の防腐効果に加え、 くん煙による乾燥、また、その煙の成分により表面の微生物の増殖を抑えることができます。 また、防腐の役割を果たすとともに、独特の風味を与えて食味を増すことができます。

びん詰・缶詰・レトルトパウチ法(空気遮断法)

これを応用し微生物は熱によって死滅する。食品をびんまたは缶の なかに密閉した後、加熱殺菌すれば長く保蔵することができます。 加熱殺菌の条件としては、pH4.6超、水分活性0.94超の低酸性食品(魚介・畜肉、野菜の缶詰・レトルト食品) では120℃4分以上またはこれと同等の殺菌を行う必要があります。

ガス貯蔵法

CA貯蔵

酸素を少なくし、炭酸ガスなどを多くした人工空気のなかで密閉して貯蔵する方法。 野菜をポリエチレンやポリプロピレンのフィルムで包装すると、呼吸によりCO₂濃度が高くなり、 CA貯蔵と同じ状態をつくりすることができ、この方法をMA貯蔵と呼びます。

試験のポイント

  • ・冷蔵(10〜0℃)、チルド(5〜−5℃)、冷凍(−18℃以下)の温度帯
  • ・フリーズドライ(真空凍結乾燥)の特徴と利点
  • ・低酸性食品の加熱殺菌条件(120℃4分以上)
  • ・CA貯蔵とMA貯蔵の違い

5食品の表示

食品表示法

わが国では、食品表示については、食品衛生法、健康増進法、JAS法の3法によって 規定してきた経緯があります。しかしながら、複数の法律が存在することでルールの 煩雑さが生じ、消費者はもとよりわかりにくいという問題がありました。 そこで、3法の食品表示に関する規定を統合した「食品表示法」が平成25(2013)年6月28日に公布され、 平成27(2015)年4月に施行されました。

食品表示基準

記載される表示項目は、名称、保存方法、期限表示(消費期限または賞味期限)、 原産地(生鮮食品の場合)、原材料名、アレルゲン、遺伝子組換え表示、添加物、 内容量、栄養成分の量および熱量(対象成分、p.101参照)、原産国(原材料に輸入品が含まれる場合)、 原料原産地(国内で製造・加工された全ての加工食品)、事業者の名称および所在地となっています。

期限表示

消費期限

定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化にともない、 安全性を欠くことがないと認められる期限を示す年月日をいいます。 期限を過ぎたら食べないほうがよい期限(use-by date)のある食品(例:弁当、生菓子、食肉、鮮魚、惣菜、調理パン、生麺など)に適用されます。

賞味期限

定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると 認められる期限を示す年月日をいいます。おいしく食べることができる期限(best-before)で、 焼き菓子、カップ麺、缶詰、レトルト食品、牛乳、バター、生卵などに適用されます。 製造日から3か月を超える食品は年月で表示できます。

栄養成分表示

食品関連事業者は、原則としてすべての消費者向けの加工食品および添加物に栄養成分表示をしなければなりません。 エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量で表示)の順に記載することが義務づけられており、 飽和脂肪酸、食物繊維が任意(推奨)、糖類、糖質、コレステロール、n-3系脂肪酸、 ビタミン・ミネラル類が任意(その他)となっています。

アレルギー表示

アレルギー物質の表示制度は、すべての一般消費者に対して情報を提供するものではなく、 食物アレルギー患者の健康被害の防止を目的としています。

分類表示対象品目
特定原材料(9品目)義務えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)・カシューナッツ
特定原材料に準ずるもの(20品目)推奨アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・マカダミアナッツ・もも・やまいも・りんご・ゼラチンなど

保健機能食品

特定保健用食品(トクホ)

国が個別に許可を行い、有用性の表示が認められている、いわゆる健康食品です。 その種類は、「特定保健用食品」「条件付き特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」に分かれます。

栄養機能食品

1日に必要な栄養成分分量が、国が定める規格基準の上限・下限値の範囲内にあることで、 栄養機能表示をすること(例:「鉄は、赤血球をつくるのに必要な栄養素です」) および注意喚起表示をすること(例:「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。」)が必要です。

機能性表示食品

平成27年4月より「機能性表示食品」制度が始まりました。 疾病に罹患していない者(未成年者、妊産婦、授乳婦を含まない者)を対象とし、 機能性関与成分によって健康の維持および増進に資する特定の保健の目的が期待できる旨を 科学的根拠に基づいて容器包装に表示をする食品で、販売開始日の60日前までに消費者庁長官に届け出たものです。

試験のポイント

  • ・消費期限と賞味期限の違い
  • ・特定原材料9品目(表示義務)を覚える
  • ・栄養成分表示の義務表示項目
  • ・特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の違い

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